うつ病の中医学的な診断と治療

うつ病の治療は当院が得意とする治療の一つです。適切な診断が出来れば、即効作用がみられます。

当院に来院されている患者様の場合、睡眠薬を飲んでいてもなかなか寝れない症状の方でも、鍼灸、気功推拿で治療している間に、いびきをかいて眠ってしまいます。

うつ病の発生の多くは精神的な変化(情志憂鬱)により内臓の働きと血液の流れに影響して起こる病証です。

よく見られる症状としては抑鬱と興奮、思考力や集中力の低下 、やる気が起きない、食欲不振と過食、情緒不安定、怒りっぼい、泣きやすい、喉の閉塞感、不眠などの複雑な症状が現れます。

以上の症状が長期化すると、血の循環や津液の代謝に影響を及ぼし、肝・脾・心などの内臓の正常な働きが出来なくなると不眠、動悸、消化器の潰瘍、乳房のシコリ、乳がん、子宮筋腫などの病気の原因にもなります。

ここでは、西洋医学が診断された神経症、ヒステリ、更年期障害の一部も、本病証の弁証施治を参考にしながら治療を行います。

うつ病の中医学的な病状分類と治療法

一.実証

1.肝気鬱結型(かんきうっけつがた)

〔症状〕

精神抑鬱、イライラ、ため息など、脇腹から胸にかけての張るようないたみがでる、胃部につかえ、食欲不振、舌苔薄膩、脈弦

〔発生原因と分析〕

・精神的なストレスにさらされる→肝臓の感情を調節する働きが破壊される→感情のコントロールができなくなる⇒精神抑鬱、イライラ、ため息などの症状が出る。

・脇腹、胸部→肝臓の経絡の走行経路→肝蔵の異常が経路にでると⇒脇腹と胸部に張るような痛みが出る

・ 肝臓の働きが低下する(肝臓は消化器の働きを調節している)→消化器に影響⇒胃部につかえ、食欲不振

〔治療原則〕疏肝理気解鬱

(肝臓の働きを正常に戻して、気の流れを良くする→肝の内臓に対する調節作用が正常状態に→これにより鬱の症状を改善する)

2.気鬱化火型(きうつかかがた)

〔症状〕

肝気鬱結型の症状+頭痛、イライラ、口の渇き、口が苦い、便秘、顔が赤く目が赤い、耳鳴り、苔黄、舌質紅、脈弦数

〔発生原因と分析〕

・肝気鬱結の状態→すぐに有効的な治療が出来ないと→病態が長期化→気の流れが悪い状態が続く→熱に変わる→イライラ、口乾、口苦、便秘、面紅目赤、耳鳴り

・ 苔黄、舌質紅、脈弦数⇒肝臓に熱がこもっている

〔治療原則〕 清肝瀉火解鬱(肝臓の経絡の熱をとって、鬱状態を改善する)

3.気滞痰鬱型(きたいたんうつがた)

〔症状〕

咽喉部の異物感あるいはは閉塞感、飲み込もうとしても飲み込めず、吐き出そうとしても出来ない、胸がつまる、脇腹が痛い、脈弦滑

〔発生原因と分析〕

・気の滞りと痰が一緒になる→胸に溜まる→喉部の異物感或は閉塞感がでる

〔治療原則〕 利気化痰解鬱

(消化器の働きを 良くし、痰を除去し、鬱状態を改善させる)

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