スティーブジョソソン症候群後遺症治療 症例報告(中医治療)
〔症 例 〕 スティーブジョソソン症候群後遺症 男性 25歳
〔主 訴〕
①両目から常に涙が出る15年
②右耳が難聴15年
③五十肩
④筋肉痛になり易い
〔経 過〕
10歳の時、高熱が下がらないため入院、スティーブジョソソン症候群と診断され、点滴と全身に氷枕などの治療で、一週間で熱がようやく下がり始め、入院3カ月で退院した。
退院後に右耳の難聴と両目に涙が出やすいという症状に気付き、病院ではスティーブジョソソン症候群の後遺症と診断された。日常生活では、涙が常に止まらず出るため、ハンカチが手離せない。その後遺症を治療するため、中国へ3カ月間の鍼治療を受けに行った。最近、普段良い方の耳も聞き取りにくくなっているため、知人の紹介で来院。
〔来院時の症状〕
右耳は安静時でも聴き取りにくい。左耳は騒音の大きいところで聞き取りにくくなり、特に女性の声が徐々に聞き取れなくなっている。肩・頚部・背中が常に痛い。右腕は肘を屈曲したままでは、後ろへ回すことが困難。
〔触 診〕
・耳の近く、首のあたり、上腹部や下腹部に圧痛が激しい
・脈→弦細、右関部滑無力、左関部弦細、両尺部とも沈遅滑無力
〔望 診〕
・両腕の上腕部、腹部、背部、腰部に大きさそれぞれの皮膚損傷痕が多所にあり
*皮膚損傷痕→入院時に氷を当てていた部位で、体位を移動する際に看護師が強く握ってできた跡。
・舌体は暗淡色、少津、舌尖部に多数の裂紋
〔既往歴〕
・スティーブジョソソン症候群(10歳)
〔辯証=診断〕 ①両目の涙②右耳が難聴→肝腎両虚
〔治 療〕
鍼は百会、聴宮、足三里、太溪に補法、合谷、曲池に平補平瀉で、気功推拿と合わせ、肝腎の働きを促進する治療を実施した。
〔治療結果〕
・ 1回目治療の直後、腕を回せるようになり、肩コリが完全に取れた。
・2回目治療(翌日)の前の状況は、涙を拭く回数がかなり減少し、体が軽くて、背中の痛みも完全に消失した。
・・・
・4回目治療の前の状況は、涙が出なくなった、体調は調子が良い、耳鳴りも減少し、聴力も少し良くなりました。
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・15回の治療で、現在、涙は完全に止まり、耳鳴りはほとんど消失、普通の対話なら、すべて聞き取れるようになった。
〔感 想〕
難病の後遺症でも、正しい診断ができたら、治療効果は必ず現れてくる。