難病治療  全身性エリテマトーデス症例報告 鍼灸(中医)・漢方治療

症  例 30代  女性 全身性エリテマトーデス(SLE)7年目。

 

〔主  訴〕 全身性エリテマトーデス(SLE)が7年
〔発病経過〕

2002年22歳の時に手足の関節に痛みが出始め、痛み止めを半年ほど飲んでしのいでいたが、まったく効かず、市民病院に受診し、検査の結果はシェーグレン症候群と診断され、ボルタレンを処方され、飲んで様子をみてたが全身あちこちの関節の痛みはなる一方で、日常生活に支障もあり、痛みを緩和するには爪もみや指圧、温浴などいろいろ試してみたが、一向に改善されなかった。

2007年6月ごとに、背中と胸部に痛みがあり、異常にしんどかったので、救急で病院へ、心膜炎と胸膜炎で入院。3、4日で点滴と鎮痛剤で症状が改善したが、体重はおよそ10kg程減少していた。

全身関節の痛みは相変わらず、再度採血検査でSLEも発症していると診断され、紹介で阪大病院へ通院し、ステロイド(メドロール錠朝4・夕2錠)治療が始めたら、関節の痛みはほぼ治った。

今年(2012年)の8月12日の来院時にはステロイド(朝3錠、夕2錠)。その後、月に一度経過観察と処方のために阪大病院へ通院。

29歳ぐらいから回転性のめまい、肩こり、頭痛が常にあるようになり、この一年間は左半身に力が入らないように感じるのと、周期的なしびれがある。2011年31歳の時に、MRIで脳梗塞の跡がみつかった

今年の4月の初めからは、右手の次指先と左足の親指先に紫色で腫れていて化膿して、疼痛も激しい、阪大皮膚科の先生の診断で血栓を作りやすい抗リン脂質抗体症候群も発症したと言われ、ステロイド増量及び血栓が出来ないようにする薬も服用して、来院時にはステロイド(朝3錠、夕2錠)。

 

〔来院時の症状〕
① 左手人差し指先と左足の親指先→今年の4月から化膿し、局所腫れ疼痛がひどい→大学病院の皮膚科に4カ月に通院

② 29歳から回転性のめまい、肩コリ、頭痛が常にある

③ この一年間に左半身に力が入らないように感じるのと周期的なしびれ

④ この2.3年朝起きたら、頭が重くて痛い、何をしても頭痛が抜けない

⑤ 背中が常にギューと痛くなる

⑥ 両膝の痛いと手足や全身が冷たい

 

〔触  診〕

・全身に冷たい、特に手足と膝が自動販売機で買ったばかりのポトルのように感じる

・右手の次指と左足の親指にかるく触るだけでも激痛

・脈→細弱、右関部沈細で無力、左関部沈細、両尺部とも沈遅無力

 

〔望  診〕

・体幹部→臍から剣状突起の間に、菱形状の紫斑、腰部もところどころに線状紫斑(写真参考)

・四肢の外側に細長い線状の紫斑があちこち(写真に参照)

・左足の親指内側→第一中足関節まで紫色、第一関節まで腫れ、膿の色も透けて見える、特に爪の内側に腫れがひどい

・右手の次指の指先に化膿し、膿の出口がはっきり見え、指尖端が欠損、極端腫れ、指の色が紫(写真)

・胖大舌、淡白苔

〔既往歴〕

・17歳の時に突発性血少板減少症となり、一年程度近くの内科に治療を受けて、血液の数値が正常に戻った。

 

〔辯証=診断〕

脾腎両虚、心肝血虚兼瘀血湿毒

〔治  療〕

・漢方・推拿・鍼灸の3つで総合的な治療を行う方針にしました。週に3回。

・最初の3回は推拿と鍼の両方で治療し、経過を観察してから4回目から漢方も加えました

・鍼は足三里、三陰交に補法、中脘に平補平瀉で、合谷に瀉法、太白に補法。気功推拿と合わせ、脾腎の働きと血流を促進する治療を実施した。

 

〔治療結果〕

・1回目の気功推拿整体治療と鍼でした。治療中で、患者は全身がホカホカと感じることをおしゃってくれました。治療直後には肩コリが消失し、体全体が軽くなりましたとの結果でした。

・ 2回目の治療の時には、治療所に入った時の挨拶は「びっくりぐらい体調がすごくいい、体が軽くて信じられない」という言葉でした。

・5回目の治療の時には、下肢のむくみが減軽し、体重が2kg減少しました。

・・・

・8回目治療後には、SLE診断重要指標(採血)C3は57㎎/dl→72 C4は8㎎/dl→10、 赤血球形態の大小不同→異常なし、マトリックスメタプロテイナ-ゼ-3
は588ng/ml→247
にまで改善し、来院当時の自覚症状がほぼ消失しました。

 

〔治療感想〕

西洋医学が難病に定義された疾病でも、中医学の理論のもとで症状を引き起こす根本的な原因を正しい辯証(診断)できれば、内臓や血の働きを漢方・鍼灸・推拿で調節し、根本から難病の完治することが可能です。

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