腎臓がん・膀胱がん術後目や頭頂部にモヤモヤ感と食欲不振、中医鍼灸・推拿治療 症例報告

2014-08-04

症例報告

70代の男性 25年に紹介で来院。

主 訴:
①目と頭頂部にモヤモヤ、頭がボーとする、目が見づらい(車の運転もしづらい)
②足の裏のしびれと冷え
③食欲全くなく、倦怠感がひどい。

現病歴:
20年前に、続けて腎臓がんや膀胱がんの手術を受けた後、倦怠感、食欲低下や両足の冷えが現れ、しかも年々に重症化し、定期健診では特に異常がみつからず。下痢しやすく、体重が57㎏前後に維持していた。
25年正月に、はげしい嘔吐や下痢が起こり、一週間入院し治療を受け、下痢や嘔吐が止まったが、体重が57㎏から50㎏に。

現症状:食欲が全くなく、倦怠感がひどく、目と頭頂部がモヤモヤし、目がみづらく車の運転もできなくなり、足の裏のしびれ、体が氷のように冷えきって、特に肘膝の以下。舌が無苔、色が赤。舌中の白苔、脈が左に弦細、左尺部沈弱滑、右脾脈濡滑。

既病歴:①20年前に腎臓がん・膀胱がん
    ②若い時から下痢と便秘が繰り返し

触 診:
腹部や肘・膝以下に氷のように冷え、手や足に冷汗、腹部の圧痛(+++)

望 診:面色無華、体型が細痩せ

辨 証:虚労(脾腎陽虚兼瘀血肝鬱)
素体不足に二回がんの手術を受け、一層気血不足となる。食欲が全くなく、倦怠感がひどい。心血虚、脳に与える血液が不足しているため、目と頭頂部がモヤモヤする。足の裏や腹部の冷えが脾腎陽虚兼瘀血の特徴である。

治療方針:補脾助陽、疏肝活血
治療方法:鍼+気功推拿+漢方(週に2、3回)
治療効果:
・初回治療直後に倦怠感が減軽し、体が軽く感じる。
・3回目の来院時、頭がボーとする感じがよくなり、食欲も大分でるようになり、足の冷えも軽くなり、漢方を飲み始めた。
・5回目の来院時、食欲が元に戻った。目や頭のモヤモヤ、頭がボーとする感じもだいぶよくなり、目が見やすくなり、車の運転も再開した。
・7回の来院に(3日間の旅行後)、旅行先でも、食欲旺盛で美味しく食べた。頭がぼっーとする感じが大分よくなり、足の裏のしびれも取れた。ただ、指先の冷えがすこし残っているため、今回は主に右膝の痛みに対して治療した。
・8回の来院時には膝の痛みも消失、食欲も回復した。

治療後の感想:
中医学における治療の特徴が、症状・舌・脈を根拠にして治療するため、がんによるさらなる食欲不振や、ほかの病気による食欲不振も、治療においては脾の運化作用をよくすることが同じである。頭や目のモヤモヤ感が内臓の働きが低下のため、血虚によるものが考えられる。鍼・気功推拿・漢方治療の目的は内臓の働きをよくし、血を根本から増せば、症状の改善ももちろんきたいできる。

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